リアルのりある。〜「とりあえず一人が相続」トラブル〜 『他人に全ての財産を持っていかれた・・・』

日付:21年11月30日 火曜日カテゴリ: スタッフブログ

こんにちは!リアルサービスの広報担当です。
父親が亡くなったのち、預貯金や不動産など全ての財産を「とりあえず」で母親に移すという話はよくあります。

今回ご紹介するのは、母親が全財産を相続したことが原因でトラブルが起きたケースです。

 

◆「とりあえず全部、お母さんが相続」に潜む大きなリスク

 

Q. 他人が財産を持っていけるんですか?一体どういうことなんでしょう?

【堤】お父さまが亡くなったあと、お母さまが「とりあえず」で全ての財産を受け継ぐのは珍しい話ではないのですが、時々、それが原因でトラブルになることがあるんです。今回お話しするご家族も、お母さまが全財産を相続したあとに、思いもよらぬことが起こっていました。

Q. 「他人が全てを持っていった」ということですか……。

【堤】実際には「持っていった」のではなく、お母さまご自身が、非常に仲良くしている団体に全て寄付されていたそうです。

Q. 寄付!奪われたわけではないんですね?

【堤】そうなんです。騙されて奪われたのなら事件として訴えることもできるかもしれませんが、この場合はお母さまご自身の意思で行ったことなので、私が聞いたときにはもう手が出せなくなっていて。

Q. 一部でも取り戻せないんでしょうか?

【堤】うーん、難しいでしょうね。本人に判断力があって、自分の判断で決めたことですから。法律上でも全く問題がないので動かしようがありません。

 

◆法律上、「財産は所有者のもの」で、家族のものではない

 

Q. 寄付をしてしまうまで、お子さまに相談はしてなかったのですね。

【堤】お子さまとの関係よりも、団体との関係のほうが密だったようです。お子さまが遠方に住んでいて類似のケースに発展した話は、実は他にもいくつかあるんですよ。特に仲が悪くなくても、世間話などを日頃していなくて、親御さまがどんな人と付き合っているのか全く知らなかったという人も少なからずいらっしゃいます。

Q. 日頃の会話不足……耳が痛いです。しかしご家族はショックを受けられたでしょうね。

【堤】かなり、ですね。「赤の他人にうちの財産を持っていかれた」とおっしゃっていましたから。ただ、法律の観点から言うと、財産はあくまで所有する人のものなんです。家族全員のものではない。だから、本人が了承のうえで行動している今回のケースは、どうにも手が出せないんですよ。

Q. 何か防ぐ方法はないのでしょうか?

【堤】防ぐのは難しいでしょうが、「とりあえず」で一人だけに遺産を全部相続させるのは控えたほうが賢明です。お父さまが亡くなった時点で、相続の権利はお母さまとお子さまを含めた複数の血縁者に発生するので、せめて法律に則った相続を行っておけば、100%全てを失うほどの事態は防げるのではないでしょうか。

――相続の話し合いは時に難しく、つい「じゃあ、とりあえずお母さんの名義にしておこうか」という意見が出やすいのは仕方がないことかもしれません。

しかし財産を一人に集中させると、思わぬトラブルが起きたときに大事になる可能性もあるのですね。

今回はかなり怖さを感じる話でした……。
相続で揉めそうなときや分からないことがあるときは、相続対策のプロに相談してみることをおすすめします。