リアルのりある。〜知的障がいを持つ子どもに財産を上手に残すには?〜『相続後に誰も財産を動かせなくなるリスクを回避』

日付:21年12月28日 火曜日カテゴリ: スタッフブログ

こんにちは!リアルサービスの広報担当です。
本日は、知的障がいを持つお子さまに財産を残す際に起こりやすいトラブルと、その回避策を、相続対策専門士である当社代表の堤に聞いてきました!

 

◆親心で全ての財産を相続させると、裏目に出る可能性が・・

 

Q. 知的障がいを持つお子さまに全財産を相続させた後、困ったことになったという話を聞いたのですが、なぜ困ることになるんですか?

【堤】今の法律では、財産を動かせるのは名義人本人だけと決められていますから、もし相続したお子さまが明確に意思を示せない状態だった場合、兄弟姉妹が代理で財産を管理することがほぼ不可能になってしまうのです。銀行からお金をおろすことも難しくなります。

Q. 困るというのはそういうことですか!

【堤】家や土地を貸すことも、売ることもできなくなりますからね。そこまで厳密だとは想像できずに、親心で障がいを持つお子さまに全財産を譲り、兄弟姉妹にそのお子さまの面倒を見るよう頼む親御さんは少なくありません。しかし、この相続の内容だと誰も財産を動かせなくなるため、障がいを持つお子さま自身だけでなく、兄弟姉妹も困ることになってしまいます。

Q. 回避策はありますか?

【堤】今ある制度で有効なのは、「家族信託」ですね。家族信託は、信頼できる家族に資産の管理や処分を委託することができ、名義人本人にきちんと収益がわたる仕組みになっています。

 

◆お子さまが心配なら、ご自身が元気なうちに対策を!!

 

Q. これまでに、どんな難しいケースがありましたか?

【堤】全ての財産を知的障がいのあるお子さまに譲って、財産を動かせなくなったご家族がいらっしゃいました。遺言書もなく、他のお子さまに「この子の面倒を頼む」と言い残しただけだったようです。実際には知的障がいを持つお子さまご自身は、障害年金や生活保護を受けることができる可能性があったのですが、財産を相続させたがために、それもできなくなっていて。ご兄弟がどうすれば良いか分からずに困って相談をしてきたような状況でした。

Q. その場合、どうすれば良いのですか?

【堤】正直、名義を書き換えてしまった後では、できることはほぼありません。家の修理やリフォームをすべき時期になっても、名義人本人がローン借り入れの債務者になれないため、費用の調達も難しくなります。

Q.皆さま、どう対処しているのでしょう?

【堤】ほぼ全員が、家族親族からの援助に頼っています。そして、名義人のお世話を頼まれた兄弟姉妹がご自身の生活を犠牲にすることになり、結婚できないまま一生を終えたケースも見てきました。財産に関する法律の、非常に根深い問題だと考えています。

Q. では、家族信託を使えば全て解決するのでしょうか?

【堤】全てとは言えませんが、少なくとも、誰も財産を動かせないようなこう着状態にはならずに済みます。遺言との大きな違いは、資産管理を委託する後継者を、複数名指定することができる点ですね。第2、第3の後継者まで決めておけば、のちの不安を軽くすることができるでしょう。

Q. 家族信託にはいつ申し込めば良いのでしょう?

【堤】認知症などの症状が進んでからでは、申し込んでも受託されない可能性が高くなってしまいますので、親御さんが健康なうちに行う必要があります。

Q. 75歳を超えると、介護認定を受ける人が急激に増えると聞きました。

【堤】高齢になるほど認知症のリスクが一気に上がるのは、厚生労働省の調査でも証明されています(※)。財産の名義人が認知症になって、資産の運用ができなくなる問題は今後もっと増加するでしょう。「自分は大丈夫」と思って財産の行く末を決めないでいるとリスクが高まるばかりですから、お子さまのためを考えるなら、元気なうちに行動しておく必要があると考えておきましょう。

 

――知的障がいを持つお子さまの行く末を全力で守りたいという思いを叶える方法として、家族信託は頼れる仕組みを持っているのですね。

家族信託について、これまでにも紹介したブログがあります。
こちらもぜひ参考にしてみてくださいね!
自分が老いた時に家族を守れる、「民事信託」という選択

(※参考:「介護保険事業状況報告(暫定)令和3年3月分」厚生労働省)