リアルのりある。〜行方不明トラブル〜 『相続の権利者の居場所が分からない』

日付:22年04月28日 木曜日カテゴリ: スタッフブログ

こんにちは!リアルサービスの広報担当です。
当社に時折入る深刻な相談のひとつが、相続人の行方不明です。
このような場合、できることは何でしょうか。数々の深刻なケースに対応してきた当社代表・堤に実例を交えながら聞いてみました。

◆意外と難しくない?行方不明者の居場所確認

 

Q. 居所が分からない人の捜索って、探偵などが行うもののような気がしますけど、これまでどのように対応して来たのでしょうか?

【堤】意外とそこまで難しくはないんです。例えば、土地を持っているのに滞納の連絡が家族に来ていない場合で考えてみましょう。
固定資産税は必ず払わなければならないものなので、もし滞納があれば連絡が必ず入ります。
それがないということは、どこかで誰かが住民票を移したうえで支払いを続けているということになります。住民票さえ移してあれば、行政は支払い者の現住所を把握しているということになります。
ならば、名義人の住民票を辿れば良いのです。

Q. 税金の支払い請求が来るか来ないかで、所在がはっきりしているかどうかが分かるのですね。

【堤】そうです。ただ、個人情報の取り扱いが厳しくなって行政がなかなか現住所を教えてくれなくなっているので、昔よりは難しくなった感がありますが。

Q. どうやって辿るのですか?

【堤】戸籍には住民票の移動履歴が記載されますから、ご家族が自主的に取り寄せて確認できればそれでも良いです。
難しい場合は、司法書士、もしくは弁護士を間に入れることですね。行方不明者との間に利害関係などがあれば、守秘義務がある人を経由して調べることはできるはずです。

Q. 利害関係とは?

【堤】例えば「相続に問題があるから居場所を知る必要がある」とか。明確な理由があれば、司法書士や弁護士に依頼して、情報開示を行政に求めることができます。
家庭裁判所から情報開示の命令があれば、それが一番スムーズですね。

◆家庭裁判所から情報開示の命令が出されるケースとは?

 

Q. どんなケースなら、家庭裁判所からの命令を出してもらえるのでしょう?

【堤】遺産分割しないといけないけど行方が分からないケースとか、相続した人が借金や土地の管理をしなければならないけれど、居場所が分からないケースとか。さまざまです。

Q. 実際に担当したケースで紹介できるものがありますか?

【堤】ありますね。ちょっと複雑ですが……。
土地を売却する直前に、名義人が亡くなったことがありました。その土地は相続人が不明で国が相続する予定だったのですが、その土地を借りていた人達というか、権利関係を持っていた人たちが、亡くなった所有者宛に「権利を返してくれ」という裁判を起こしたのです。

Q. 亡くなった人相手に裁判ってできるものなのですか?

【堤】この場合は土地管理を引き受けた「国」を相手取っての交渉になりますね。国側が代理人を立てて交渉する形になります。

Q. 確かに複雑ですね。どう決着したのでしょうか。

【堤】その後の調べで、一人だけ所在が不明な相続人がいることが分かって急展開しました。

Q. すごい!所在が分かったんですか?

【堤】これが、先ほどお話しした「家庭裁判所を通じて行方不明の相続人の居場所が判明」したケースです。裁判所の介入がなければ難しかったでしょう。

Q. では裁判はその相続人と続けることになるんですね。

【堤】そうですね。国は民事に介入しませんから、土地の相続を取り下げました。
結果的に、相続人に相続の発生を伝えて、権利を放棄するのか相続するかを決断してもらって解決に至ったという流れです。

Q. そのケースでは国が介入しましたが、個人で解決しようとしたら、司法書士か弁護士に相談すべきなのですね。

【堤】司法書士のほうが慣れているかもしれません。それでも、こういった複雑な状況になると、経験がなければ対応しきれないかもしれませんから、難しそうな案件は当社にご相談いただいても良いかと思います。
実際に、司法書士さんから直接私に依頼の電話がかかって来ることもありますよ。

Q. それで、これまでに複雑なケースを何件か担当しているのですね。

【堤】そうですね。司法書士さんより私のほうが得意な分野もありますから。他で断られたら、諦めずにご相談いただければと思います。

――相続人が分からなくて困っているようなケースでも、家庭裁判所を通して所在を突き止められることもあると分かれば、安心できますね。
解決までに大変なプロセスを踏むこともあるようですが、そのままにするわけには行かないのが相続の大変なところです。

他で断られるなど解決が困難なケースでも、相続対策専門士として数々の相談に対応してきた当社でお話を聞くことができます。