リアルのりある。〜家族の借金トラブル〜 『相続放棄は3ヶ月以内に』

日付:22年06月30日 木曜日カテゴリ: スタッフブログ

こんにちは!リアルサービスの広報担当です。
3月の「リアルのりある。」で取り上げた、「家族が亡くなった後に見つかった借金」が相続で受け継がれる話は、当事者にとってとても怖いものです。

今回は、残された借金を背負わないために何かできることがあるのか、当社代表・堤に聞いてきました!

◆負債を相続しないためには、相続放棄するしかない?

Q. 3月の話は、亡くなった家族が借金を抱えていた場合、財産を相続する人に借金も受け継がれるという内容でしたね。

【堤】相続とは「権利義務」を引き継ぐものなので、借金もそのひとつとしてカウントされてしまうのです。避けようがないものなので、借金だけを拒否して他のものを相続する、という選別ができません。

Q. 借金の額が少なかったら、どうすれば良いのですか?

【堤】全体の相続に対して借金の割合が小さく、支払ってもプラスが残るようなら、そのまま相続しても良いでしょう。自分が借金を相続すると知った日から3ヶ月の間、相続放棄などの申し立てをしなければ、「単純承認」と言って、自動的に借金も相続されることになります。

Q. 借金の割合が多い場合はどうでしょう?

【堤】預貯金などの総額よりも借金の額が大きく、マイナスになるような場合は、支払う気持ちがなければ相続放棄をする以外にありません。相続開始を知って何もせずに3ヶ月が経過すると、承認したと見なされて支払い義務が発生しますから注意が必要です。

Q. 過去にはどのようなケースがありましたか?

【堤】居場所が分からない相続人がいて、その人はまさか自分が相続人になっているとも思わず、また、借金を引き受けることになるとは想像もしていなかったことがありました。探し出して説明し、3ヶ月の期限内に相続放棄がギリギリ間に合いましたが、似たようなケースは実はそんなに少なくありません。

Q. しかし何もかも放棄するとなると、迷う人もいるのでは。他に方法はないのでしょうか。

【堤】確かに、「相続放棄」は、財産の全てを放棄しなければならないので躊躇する人もいます。全てを受け入れる「単純承認」との差が大きすぎますからね。どうしても放棄できないような財産がある場合は、「限定承認」という形で相続することも不可能ではありません。

◆マイナスとプラスを相殺した残りのマイナスを相続する「限定承認」

Q. 「限定承認」というのはあまり馴染みがない言葉ですね。詳しく教えてください。

【堤】プラス分を相続するものではなく、マイナス分を相続する形で一部を残すやり方です。分かりやすく言えば、プラスになる相続の総資産と同等になるマイナス分(借金)のみを相続し、残りの借金は切り捨てにする、というものです。

Q. ということは、借金が丸ごとなくなるわけではない……?

【堤】なくなりません。相続分と同等とされる借金は支払うことになります。

Q. このやり方には、何かメリットがあるのでしょうか?

【堤】相続する範囲内で借金を返せばいいので、借金額を大きく減らすことができる点がひとつ目のメリットです。ふたつ目のメリットは、相続の項目に含まれている自宅などの手放したくない財産や、自己の固有財産を残せる点ですね。

Q. それは大きいですね。でもなぜ、あまり聞くことがないのでしょう?

【堤】手続きが複雑なのと、どうしても時間がかかってしまうので嫌がる人はいます。相続する財産の中に残したいものが特にない場合は、財産放棄したほうが精神的にラクな状況もあるでしょうね。

Q. 「限定承認」も、相続開始から3ヶ月が期限なのですか?

【堤】そうです。相続に関する申し立ては一律に3ヶ月が期限とされています。ただし、限定承認は相続人全員が家庭裁判所に申し立てることが義務付けられていて、全員の同意が得られないとか、相続人の居場所を調べるのに時間がかかるというような状況であれば、期限の延長を申し出ることは可能です。また、売却できる資産は手放さなければならないなど、制約も少なくありません。

Q. 少しずつ複雑になってきました。簡単には選べない内容ですね。

【堤】相続の専門家でなければ、正確に説明することは難しいと思います。他にも税金面で考慮すべきことなどもありますから、気になる時は早めに相続対策のプロに相談して、3ヶ月の期限内に対応をしていただきたいですね。

――亡くなった家族の借金額が大きいときは、プラス分だけ残すというわけには行かないようです。
限定承認を申し出ると決定までに1年以上かかる場合もあるようですが、財産放棄を決める前に、一度専門家に相談してみると良いでしょう。